せきしょう (石菖) 

学名  Acorus gramineus
日本名  セキショウ
科名(日本名)  ショウブ科
  日本語別名  イシアヤメ、セキショウブ
漢名  石菖蒲(セキショウホ,shíchāngpú)
科名(漢名)  菖蒲(ショウホ,chāngpú)科
  漢語別名  凌水檔(リョウスイトウ,lingshuidang)、十香和(ジウコウカ,shixianghe)、水劔草(スイケンソウ,shuijiancao)・水劔章、山菖蒲、藥菖蒲、香菖蒲、九節菖蒲
英名  
2012/04/20 小石川植物園
2008/04/15 同上
2007/05/08 同上
2007/05/22 同上

      2006/08/28 明治薬科大学薬草園

 ショウブ属 Acorus(菖蒲 chāngpú 屬)については、ショウブ属を見よ。
 『大和本草』菖蒲に、「石菖蒲、泥菖蒲ヨリ小ナリ。根ハ藥ニ用ユ、又盆ニウヘテ賞玩ス、・・・」と。 
 東アジアの亜熱帯・暖温帯に分布(日本では中部地方以西・中国では長江流域以南)
 漢土では、古くから菖蒲(セキショウまたはショウブ)の根を食用・薬用にし、また辟邪の呪物として用いた。
 春秋時代、『左伝』僖公30年(B.C.630)に、魯は周の使節を「昌歜(日本人の読みではショウサン chāngcăn、中国人の読みではショウショク chāngchù。きざんだ菖蒲の根のひたしもの・浅漬け)・白黑(白い煎り米と黒い煎りきび)・形鹽(虎の形に整えた盛り塩または焼き塩)」で供応したことが見える。
 戦国時代、『楚辞』に見える蓀(ソン,sūn)や荃(セン,quán)は、菖蒲であるという。蓀は、重要な香草であり、また君王の尊称として用いられ、引いては二人称の尊称でもあった。
 漢代ころからは薬用に供せられてきた。
 加えて、その芳香と薬能から、また剣に似た葉の形から、菖蒲は辟邪の力を持つと考えられ、端午の節
(旧暦5月5日)に邪鬼を払う呪物として用いられた。つまり、菖蒲の葉を剣に見立て、ヨモギを鞭に見立てて、蒲剣蓬鞭と称して門に飾り、その花を延年益寿の薬とした。
 また後には、その根を刻んで酒に浸し 菖蒲酒と称して飲むなどした。このようなことから、端午節を蒲節とも呼ぶ。
 宋代以来、「葉に剣脊あり、痩根は密節」のさまを愛で、庭園にまた盆景に植えて、その葉を観賞する。
 今日の中国では、次のものの根茎を菖蒲(ショウホ,chāngpú)と呼び、薬用にする。
   『中薬志Ⅰ』pp.439-444 『全國中草藥匯編 上』pp.190-191,250-251

  セキショウ A.gramineus(石菖蒲) 
最も広く用いる
  ショウブ A.calamus(水菖蒲・臭蒲・白菖蒲・建菖蒲) 
上記に次いで多く用いる
 日本では、菖蒲を辟邪の呪物とする習慣を漢土から受け継いだ。ただし、菖蒲(ショウホ,chāngpú)をショウブと理解したことから、セキショウではなくショウブを用いて今日に至る。


跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
クサコアカソウ シュロソウ スハマソウ イワチドリ チダケサシ 跡見群芳譜トップ 野草譜index